昨日はピタゴラス三角形の話しだったので、今日は別の三角形。
名前を付けるならば、アイゼンシュタイン三角形です。
皆さん、余弦定理はご存知ですか?
c2=a2+b2-2ab・cosC
ですね。
ある三角形の辺の長さを、a、b、cとして、aとbで挟まれる∠Cにおいて、上記の式が成り立つというもの。
ピタゴラスの定理は、∠C=90˚なので、cosC=0となり、
c2=a2+b2
となります。
では、∠Cが90˚以外にはないの?ということで、
cosC=-1/2、つまり∠C=120˚のとき、
c2=a2+ab+b2
という式になります。
a, b, c∈Nで成り立つとき、(a, b, c)の組をアイゼンシュタイン数と呼び、この三角形をアイゼンシュタイン三角形と呼ぶ。
一番小さなアイゼンシュタイン数は(3, 5, 7)です。
当然、アイゼンシュタイン数は無限に存在するのかという疑問が湧いてくる。
m, n∈N
m>n
とすると、
a=m2-n2
b=2mn+n2
c=m2+mn+n2
と表わせ、(m, n)の組が無限に存在するので、(a, b, c)の組も無限に存在する。
既約アイゼンシュタイン数であれば、gcd(m, n)=1を条件に追加すればよいだろう。
アイゼンシュタイン三角形の特徴は、∠C=120˚の鈍角三角形であること。
3辺の長さは整数だが、面積は整数にならない。
因みに、3辺の長さが整数で、面積も整数の三角形を、ヘロン三角形と呼ぶ。
仮に、120˚を2等分すると、60˚+60˚である。
アイゼンシュタイン三角形は2つの三角形に分割出来るわけだが、それぞれの三角形の3辺は整数比で表せるのかという問題が出来る。
では実例を使って説明してみましょう。
(a, b, c)=(3, 5, 7)
長辺cをa:bに分割するので、
7*(3+5)=56
a, b, cを(a+b)倍し、
(a(a+b), b(a+b), c(a+b))=(24, 40, 21+35)
分割された新たな辺の長さをdとすると、d=ab=15、となる。
つまり、2つに分けられた三角形は、それぞれ
(ab, a(a+b), ca)=(b, a+b, c)
(ab, b(a+b), cb)=(a, a+b, c)
と整数比の三角形に分割出来る。
という性質がありました。
60˚を更に2等分して、とか面白そうですが、
cos(120˚)=-1/2
cos(60˚)=1/2
cos(30˚)=√3/2
と、無理数になってしまうので、整数比の三角形にはなりえません。
ではでは
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3辺が整数で∠C=120°の鈍角三角形の奇妙な性質
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