以前書いた、『数学時計に物申す』
この記事で、9を必ず3つ使って、時計の文字盤を数式で表せることを示しました。
候補はいくつかありましたが、
とりあえず第一弾としては、こんな感じでどうだろうか。
何を基準にしたかというと、出来る限り数式のバリエーションを豊富にしたつもりです。
+-が違うだけとか、そういう類を排除しました。
それぞれの数式は、小学校、中学校、高校、大学とそれぞれのレベルで最低でも1つは習うものが含まれ、見たことがない関数も説明されれば、それほど難しくないものを使ったつもりです。
この数学時計を幼稚園児が見たとして、文字盤の位置から、それぞれは1から12なんだろうという予想は出来るが、9が3つ使われていることは理解できても、式の意味を推測したりすることは出来ない。
小学校に入学して、算数を学ぶと、四則演算を学ぶようになるが、+、-の記号は理解出来ても、確実に理解出来るのは11時と9時だろうか。
11時は簡単で分数表記されているだけで、99/9=11で、この式の意味を理解出来る。
9時はgcdと書かれているが、これが最大公約数のGreatest Common Divisorの略のGCDであることが解れば、99と9の最大公約数は9ということで、この式の意味を理解できる。
中学に上がると、算数は数学となり、扱える数の範囲が小学校の有理数から、無理数を含めた実数となり、またいくつかの数式を理解出来るようになる。
6時は、二重根号になってはいるが、中学生でも根号は理解出来るので、この数式の意味を理解出来る。
10時は、根号の外側にガウス記号が使われているが、[]の中の値の最大の整数という意味だと聞けば、十分に理解出来る。
他にも根号は登場するので、そこを計算して、残りを逆算で求めることは出来るかもしれないが、その式の意味を理解出来たとは言えない。
高校に進学すると、扱える数の範囲が小中の実数から、虚数を含めた複素数とあり、またいくつかの数式が理解出来る。
3時のiは虚数単位のiであり、根号の中が負の数になっているが、高校生ならば理解出来ている。
6時の二重根号は高校になると普通に登場してくるので、これも理解出来る。
7時の!は階乗記号、CはCombinationのCで、組み合わせで、これらも理解出来る。
8時のlogは対数で、これも理解出来るが、他は解る式の値から逆算することは出来ても、残りを理解するには至らない。
大学に進学したとして、数学をやるかと言われると、私はよく解らない。
他の学部の授業を知らないからだ。
私のように理学部数学科に進学したとしても、大学生が勉強する数学の範囲は時代によってや、学部によってや、学校によってカリキュラムは様々なので、なんとも言えない。
ただ、この数学時計の文字盤に使われているものは、ギリシャ文字の関数だけですね。
Γ関数は、ガンマ関数で、ギリシャ文字の3番目、ガンマの大文字で表します。
ガンマ関数は、高校までの階乗では非負整数しか扱わなかったものを、複素数まで拡張したものということになります。
非負整数nにおいては、Γ(n)=(n+1)!が成り立ちます。
つまり、9!/Γ(9)=9ということになります。
μ関数は、メビウス関数で、ギリシャ文字の12番目のミューの小文字で表します。
μ(n)のnを素因数分解して、
素因数に2乗以上の指数が含まれるもの、つまり平方因子があれば、0を返す。
残りは2乗以上となるものはなくなり、すべて異なる素因数ということになる。
異なる素因数の個数が奇数個ならば、-1を返す。
異なる素因数の個数が偶数個ならば、+1を返す。
これがメビウス関数の挙動である。
μ(99/9)=μ(11)=-1
μ(99)=μ(32・11)=0
μ(9)=μ(32)=0
と、文字盤に使われているメビウス関数は理解出来るだろう。
π関数は、素数計数関数で、ギリシャ文字の16番目のパイの小文字を使います。
π(n)は、nまでの素数の個数を返します。
π(9)=4
π(99)=25
と、文字盤に使われている素数計数関数は理解出来るだろう。
σ関数は、約数関数で、ギリシャ文字の17番目のシグマの小文字を使います。
σ(n)は、nの約数の総和を返します。
σ(9)=1+3+9=13
σ(99)=1+3+9+11+33+99=156
と、文字盤に使われている約数関数は理解出来るだろう。
これらの関数の内部で行われている計算は、小さな自然数を与えている程度であれば、小中学生でも十分に計算出来るものであり、何に利用するかは解らなくても、理解出来ていればいずれ何かの役に立つかもしれませんね。
こんな感じで、算数、数学を学べる教材になるかな?
ならねーなw
おそらく、こういった商品を買う人は、数学好きなのかもしれないが、自分から買おうとは思わないので、数学好きへのプレゼントとして買われるのだろう。
ただ、私のような数学屋は、結構頑固なので、世に売っているようなのものでは満足出来ないので、気をつけるように。
ではでは