キカイダー REBOOTが5.24に公開されるということで、私のキカイダー論について書かねばと思いキーボードを闇雲に叩いている。
キカイダーとは何ぞやという人も居るだろうから、まずはそこから書こう、
キカイダーとは石森章太郎(いしのもり・しょうたろう)原作の人造人間キカイダーである。
石森作品といえば、未だに続く仮面ライダーシリーズやゴレンジャーから続くスーパー戦隊シリーズがあるが、仮面ライダーと人気を二分すると言っても過言ではない。
キカイダー世代でなければ、嘘だろうと思うことだろう。
なぜなら彼らの論理で言えば、仮面ライダーがここまで続いているのに、キカイダーは続いていないじゃないかということだ。
確かにその通りではあるが、それには理由があるので、後で説明する。
仮面ライダーと人気を二分するという証明として、人造人間キカイダーの放送時間を教えよう。
なんと、8時だヨ全員集合の裏である。
全員集合が平均27%の裏で、キカイダーはクール終了あたりでは16%を取っていた。
これで凄さがわかると思います。
では、キカイダーの核心に迫って行こうと思う。
キカイダーと言えば、左右非対称、アシンメトリーな造形である。
仮面ライダーが異形のヒーローの代表だとしても、基本左右対称のシンメトリーである。
日本人にはアシメントリーの美が理解されやすい土壌ではあるといっても、相手は子どもである。
仮面ライダーが巨大な悪から生まれた一人ぼっちの小さな正義のヒーローだとすると、キカイダーは善と悪の間に悩まされるヒーローである。
簡単な事の起こりを説明すると、
・人一倍正義感の強い光明寺一郎が謎の事故死をする。
・その事故に疑問をいだいたロボット工学の権威、光明寺博士は、一郎の代わりとなるようにと、人造人間(キカイダー)を制作し、半ば中途半端な良心回路なるものを取り付けて、姿を消してしまう。
・バイオ工学の権威、プロフェッサー・ギルは、光明寺博士に一郎の脳が生きていることを実証してみせ、一郎を活かすためにギルに協力し、一郎の脳を組み込んだ人造人間(ハカイダー)を作ってしまう。
・光明寺ミツコとマサルは失踪した父を探す旅を続ける。
原作コミックと特撮とは多少異なる点はあるとは思うし、私の妄想も入っているかとは思うが、こんな感じで認識している。
実に複雑な人間(人造人間も含む)関係であり、この初期設定から、それぞれの思いが交錯するのである。
まず、主人公のキカイダーおよびジローの視点にたってみよう。
キカイダー(および人間体のジロー)は、光明寺博士を自分を作った存在であるから父と認識し、ミツコやマサルもジローの妹弟という認識で守らなければならない存在である。
しかし、プロフェッサー・ギル率いる組織ダークの作るロボットも光明寺博士の作ったものであるから、ジローと兄弟であり、ロボットの弟を倒さなければ人間のミツコやマサルを守れないわけである。
半ば、中途半端な良心回路なるものが、ジローを悩まし続けることになるのが、キカイダーの根底に流れるテーマである。
原作コミックでは、ピノキオをモチーフにしており、人間になりたいピノキオ=人間になりたいキカイダー、バッタのジミニー・クリケット=良心回路ジェミニという構図である。
原作コミックの最後は、仲間となったキカイダー01(ゼロワン)、00(ダブルオー)、ビジンダーを、キカイダーが殺してしまうのである。
人間とは不完全であり、不完全であることが人間であると理解した結果がこの結末を産んだと私は理解したんですが、子供心にわけが判らなかったです。
また、キカイダーの乗るマシンはサイドカーであることも、アシンメトリーであることや、ミツコやマサルをサイドカーに乗せることも可能であることはいうまでもありません。
片や、主人公のライバル、ハカイダーおよびサブローの視点にたってみよう。
ハカイダー(および人間体のサブロー)は、生きているのか死んでいるのかわからない光明寺一郎の脳の命令なのか、それとも破戒回路なるものからの命令なのか、自分(一郎)の偽者であるジローことキカイダーを破戒することを使命としてはいるが、そこには慈愛があるというか、憎めないのである。
特撮においても、主人公のキカイダーよりも、ハカイダーが人気があって、1995年には人造人間ハカイダーという特撮映画が公開されたほどである。
プロフェッサー・ギルも悪者かというと、絶滅危惧種をロボット化するということだけをみると、何が善で何が悪なのか解りにくい。
また、プロフェッサー・ギルが率いるダークという組織とは別に、シャドウという組織も登場する。
ダークは明暗の暗であり、シャドウは陽陰の陰である。
因みに、ビジンダーはシャドウのロボットである。
確か、他の人造人間の回路を狂わすことができ、ゼロワンの回路を狂わせようとするも、逆に恋心を芽生えさせてしまったりする。
まぁ、特撮におけるゼロワンの部分は割愛する。
さて、ここまで書けば、今回まで実写化が成されなかった理由もわかるだろうか。
単純な勧善懲悪モノでは語れないという複雑さであること。
また、特撮映画・人造人間ハカイダーのハカイダーの造形は素晴らしかった。
つまり、キカイダーを名乗るのであれば、テーマの改変はNGであり、先の映画ハカイダーを超えるか同等のレベルでキカイダーのキカイダーたる部分、キカイダーでなければならない部分を盛り込めなければ、特撮映画のリメイクとしては失敗なのである。
なんか完全にメタルダーみたいな感じになってしまってるんだけど、これでいいのか?
ハカイダーの造形は気に入ってるのになぁ。
せめて、映画ハカイダーのあとに作られたS.I.C.(スーパー・イマジネーション・超合金)のキカイダーに近い造形であればよかったのになぁ。
そこであらためて、映画ハカイダーを見てみたところ、頭をぶっこ抜かれたミカエルが人型ではないロボットになってハカイダーに立ち向かうシーンが、昔のロボコップのようなギクシャクしたCGだった。
ロボコップもリブートしていることだし、こちらも合わせて見ないと特撮は語れないのかもしれない。
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人造人間キカイダー
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