午後のひとときに、数学オリンピックの問題を解いてみる。
問題
黒板に1以上100以下の整数が1つずつ書かれている。
黒板から整数a、bを選んで消し、新たにa2b2+3とa2+b2+2の最大公約数を書く
という操作を繰り返し行う。
黒板に書かれている整数が1つだけになったとき、その整数は平方数ではないことを示せ。
シンキングタ~イム
平方数はmod 3と相性が良いので、
x=a2b2+3
y=a2+b2+2
g=gcd(x,y)
とおいて、
まずは、a、b、x、yのmod 3を考える。
a | ||||
-1 | 0 | 1 | ||
b | -1 | x≡1, y≡1 | x≡0, y≡0 | x≡1, y≡1 |
0 | x≡0, y≡0 | x≡0, y≡-1 | y≡0, y≡0 | |
1 | x≡1, y≡1 | x≡0, y≡0 | x≡1, y≡1 |
ここで、gのmod 3も考えると、gが3の倍数になるには、x、yがともに3の倍数のときである。
つまり、aかbのどちらか一方が3の倍数で、もう一方は3の倍数ではないとき、gは3の倍数となります。
ここで、黒板上の3の倍数の個数に着目します。
aとbがともに3の倍数ではないとき、gも3の倍数ではないので、黒板にある3の倍数の個数は変わらない。
aとbがともに3の倍数のとき、gは3の倍数ではないので、黒板にある3の倍数の個数は2個減る。
aとbのどちらか一方が3の倍数で、もう一方は3の倍数ではないとき、gは3の倍数なので、黒板にある3の倍数の個数は変わらない。
1以上100以下の3の倍数は、[100÷3]=33個ある。
3の倍数は2個ずつしか減らないので、
33、31、29、…、7、4、1
のように減っていく。
つまり、3の倍数の個数は奇数個を保ち続けます。
よって、最後の操作を行うときのa、bは、どちらか一方は3の倍数で、もう一方は3の倍数ではない場合となり、最後の1つは必ず3の倍数である。
あとは9の倍数でないことを示せればよい。
g=gcd(x, y)が9の倍数ということは、x、yがともに9の倍数のときだけである。
y=a2+b2+2が9の倍数となることは、
n2≡0, 1, 4, 7 (mod 9)
より、
0+7+2≡0 (mod 9)
7+0+2≡0 (mod 9)
があるが、
x=a2b2+3が9の倍数になることは、
a2b2≡6 (mod 9)
となり、
n2≡0, 1, 4, 7 (mod 9)
より、9の倍数にはなりえない。
よって、最後の1つは3の倍数ではあるが、9の倍数ではないことが示され、
3の倍数の平方数は必ず9の倍数であることより、
最後の1つは平方数ではないことが示された。
Q.E.D.
やっぱり数学オリンピックは手強いですね。
ではでは