昨日の2019年9月30日を以て、ポケベルのサービスが終了いたしました。
タイトルの通り、私はポケベル恐怖症というか、ボケベルの音に過敏に反応してしまうという体質になってしまっております。
これは、H社での24時間待機エンジニアという職における職業病でしょうか。
因みに24時間待機エンジニアに選ばれるには、当然それなりの経験がないとダメなので、古い製品、新しい製品、いろいろな環境がありますので、それらを一通り出来ないことには、なろうと思ってもなれるわけではありません。
当時8人か9人のエンジニアで東京の24時間365日PCサーバーのサポート契約の顧客に対して、即時出張修理という形で対応しておりました。
24時間帯機の日は、2日連続のローテーションで、常にポケベルを携帯している状態です。
平日は17時半から翌日9時までの間、土日休日はフルタイム待機となり、都内にいつでも行けるようなところで待機する必要があります。
寝ていようが、食事していようが、風呂に入っていようが、車を運転していようが、ポケベルが鳴れば、24時間待機のバックラインエンジニアに連絡を取り、顧客の住所、障害の内容、などを聞き、必要な部品などがあれば、そこで追加をお願いして、現地で部品を受け取って作業。
作業が終われば、バックラインエンジニアに連絡を取り、作業終了報告と、簡単な障害内容と作業内容の報告で、帰宅する旨を伝える。
記憶にあるのが、土日と待機が重なった上、2日間で昼夜問わず7件の対応をしたこともありました。
酷いときは、作業が終わったことを連絡して、客先から自宅へ車を走らせていると、ポケベルが鳴り、またとんぼ返りで、都心へ向かうということもしばしば。
自宅やオフィスが都心にあれば、そこまで苦労はしないのでしょうけどね。
夜中なら空いているからそんなに時間は掛かりませんが、それでも眠い目を擦って、自販機で甘ったるい缶コーヒーを2本くらい買っては飲んで、カフェインで目を、糖分で頭を覚ましながら運転していました。
こんな仕事を何年続けていたのでしょうか。
ポケベルの音に過敏に反応する体になっていました。
夜な夜な呼び出される恐怖、客先での罵声を浴びるなど、ストレスは着実に体を蝕んでいったことはいうまでもありません。
コンピュータが壊れるのは、当たり前のことなのに、壊れて修理に来ているエンジニアに罵声を浴びせる顧客も顧客なんですが、まぁ、顧客も24時間働いているので、同じようなストレス環境になっていたんでしょう。
逆に、ちゃんとした冗長化システムになっていれば、壊れても大事にならないんだけどね。
修理作業が珍しいのか、周りに人だかりができたり、自分の行動の一挙手一投足を監視されている感じもありました。
案外、外国人の多いところでの作業は、自分が英語が出来ないこともあってか、何を言われても解ってないからストレスにはならなかったかもしれませんが、ちゃんと作業さえ遂行すれば「Cool!」とか「Good Job!」とか、自分でもわかる簡単な会話を交わすまでになったりする。
ただ、いくら給料が良くても、いくら24時間待機手当やら、休日出勤手当てやらがついても、若い内なら良いが、年齢とともに次第に体が悲鳴を上げてくる。
まぁ、外資系だったから、日系企業よりは融通が利いたという意味では良かったのかもしれません。
待機で朝方5時とかに作業が終わって、まだ誰も来ていないオフィスに寄って、作業報告書を仕上げて、ディスパッチャー(エンジニアの管理をしている部署)に連絡をして、「今日は休みます。」の一言で、容易に休みにすることは出来ました。
もし、これが出来ないような環境だったら、ブラック企業でしょうね。
ディスパッチャー陣は女性ばかりだったのと、元々ディスパッチャーのいるオフィス勤務だったので、ディスパッチャーに顔が知れていたことや、出張のお土産やら、ホワイトデーのお返しやら、ちゃんとやっていたことが功を奏したのかもしれません。
後は、外資系は自己管理してなんぼなんですよ。
休みを入れるのも、仕事を入れるのも、自分次第。
H社がC社を吸収合併するとなって、自分たちが対応していた製品が、C社の製品に置き換わっていくことで、今までの自分の仕事が無くなっていく。
そんなとき、24時間待機エンジニアからも外れ、別の仕事をするようになったんですが…
ポケベル恐怖症は、いついかなるときでも発動するのであった。
テレビを見ていると、ビックカメラのCMの出だしの電子音で発動したり、とにかくけたたましく鳴り響く電子音に恐怖を覚えるのである。
これは、緊急速報メールとかでも同じであるから、反応しないわけにもいかないのだが、おそらく他の人よりも過敏に過剰に反応してしまうことだろう。
緊急速報メールは、ビビることじゃなくて、冷静に判断して行動するためのものでなければならないことはいうまでもない。
2019年9月30日を以て、ポケベルのサービスは終了した。
世の中からポケベルが全て消えて無くなったとしても、
私のポケベル恐怖症というトラウマが消えて無くなるわけではない。
自宅の電子音系のもの、炊飯器、電子レンジ、洗濯機、お風呂、これらはどうにか耐えられてはいる。
この先、この病気は死ぬまでに治るのか。
ではでは