数学をやっていると、定理や公式と呼ばれる式が沢山出てくる。
定理は覚えておく必要があるが、公式は全部を覚えておくということは、まずしない。
他から容易に導き出しにくいもの、利用頻度の高いもの、というのは暗記してでも覚える必要がある。
他から容易に導き出せるもの、利用頻度が少ないもの、というのは暗記していたとしても忘れてしまいがちである。
先の記事で、arccosの加法定理を導いてみせた。
端折らずに、arcsin、arccos、arctanについて丁寧に展開してみよう。
sinA=α <--> arcsinα=A
sinB=β <--> arcsinβ=B
とおくと、
sin(A+B)=sinAcosB+sinBcosA
arcsin(sin(A+B))=α√1-sin2B+β√1-sin2A
A+B=α√1-β2+β√1-α2
arcsinα+arcsinβ=α√1-β2+β√1-α2
同様に、
arcsinα-arcsinβ=α√1-β2-β√1-α2
2倍角は、
2arcsinα=2α√1-α2
cosA=α <--> arccosα=A
cosB=β <--> arccosβ=B
とおくと、
cos(A+B)=cosAcosB-sinAsinB
両辺のarccosを取ると、
arccos(cos(A+B))=arccos(cosAcosB-sinAsinB))
A+B=arccos(cosAcosB-sinAsinB)
arccosα+arccosβ=arccos(αβ-√(1-cos2A)(1-cos2B))
arccosα+arccosβ=arccos(αβ-√(1-α2)(1-β2))
同様に、
arccosα-arccosβ=arccos(αβ+√(1-α2)(1-β2))
2倍角は、
2arccosα=arccos(α2-(1-α2))=arccos(2α2-1)
tanA=α <--> arctanα=A
tanB=β <--> arctanβ=B
とおくと、
tan(A+B)=(tanA+tanB)/(1-tanAtanB)
arctan(tan(A+B))=(α+β)/(1-αβ)
A+B=(α+β)/(1-αβ)
arctanα+arctanβ=(α+β)/(1-αβ)
同様に、
arctanα-arctanβ=(α-β)/(1+αβ)
2倍角は、
2arctanα=2α/(1-α2)
何も、難しいことはない。
今回の例で言えば、覚えておく必要があるのは、
sin(A+B)=sinAcosB+sinBcosA
cos(A+B)=cosAcosB-sinAsinB
tan(A+B)=(tanA+tanB)/(1-tanAtanB)
sin2A+cos2A=1
の、これだけ。
負符号も覚えても良いが、複合同順だということを知っていれば、解るので覚えておかなくても良い。
まぁ、記憶力の良い人ならば、全部を丸暗記で覚えても良いだろう。
一般的にはぼんやりとした形を覚えておいて、必要な時に導き出せればよい。
利用頻度が高くなれば、必要に応じて覚えていくことになるだろう。
数学は、一部暗記科目かもしれないが、他の教科ほど暗記する項目は少ないかと思う。
ではでは