数学の問題には、こういった短い問題が幾つかあって、その内の1つです。
問題
√2が無理数であることを証明せよ
証明する方法は幾つかあるかとは思いますが、背理法を使う方法が一般的かと思います。
なぜかというと、無理数の定義が有理数ではない実数ということに起因しています。
証明の流れは、有理数と仮定し、矛盾し、有理数ではない、故に無理数という感じです。
絶対に背理法を使わなけれなばらないかというと、実はそうでもないんです。
例えば、正則連分数展開を使えば、背理法を使わずして無理数であることが証明できます。
正則連分数展開って何?
連分数とは、分数の分母ないし分子に分数があるような分数です。
正則連分数とは、分母が分数で、分子は恒に1になるように展開したものです。
なぜ、正則連分数展開だと背理法を使わなくてもいいのか。
それは、有理数という言葉を使わずして無理数を説明出来るからです。
ある数xを正則連分数展開したとします。
有限回の展開で表せたならば、xは有理数。
有限回の展開で表せないならば、xは無理数。
また、
xが有理数ならば、有限回の展開で表せる。
xが無理数ならば、有限回の展開で表せない。
と、必要十分条件になっています。
では、有限回の展開で表せないとはどういうことか。
これは、割り算の筆算で、同じ余りが繰り返し登場するのと同じです。
割り算の場合は、割り切れれば有限小数、同じ余りが繰り返されれば循環小数となります。
連分数展開では、割り切れれば有理数、同じ分母が繰り返されれば無理数となります。
では、証明してみましょう。
√2を正則連分数展開する。
√4 = 2 > √2 > √1 = 1 より、
√2の整数部分は1、小数部分は√2 - 1 = 1/(√2 + 1) ...(a)
√2 + 1の整数部分は2、小数部分は√2 + 1 - 2 = √2 - 1 = 1/(√2 + 1) ...(b)
(a)と(b)が等しいので、
√2 = [1;1,1,1,...]
の様に無限に続く。
故に、√2は無理数。
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さて、この背理法を使わずに正則連分数展開で証明する方法は、具体的な値であるから出来るのであって、
√pが無理数であることを証明せよ。但しpは素数。
といった場合には使えない。
というわけで背理法を使って証明してみよう。
√pが有理数と仮定すると、
√p = n/m
の様な整数m, nが存在する。
ここでは、mとnは互いに素で、m≠0とする。
両辺をm倍し、2乗する。
pm2 = n2
ここで、左辺と右辺のそれぞれを素因数分解したとして、素因数pの個数を考えると、
左辺は奇数個、右辺は偶数個となり、矛盾する。
したがって、√pは有理数ではない。
故に、√pは無理数。
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素因数分解とか使ってみました。
これも知っておいたほうが良い方法ですね。
例えば、12という数で考えてみましょう。
12 = 22・31
122 = 144 = 24・32
2乗することで素因数の数が倍になってます。
つまり、2乗すると、素因数の数は必ず偶数になります。
この性質を使うと楽に証明できますね。
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√2が無理数であることを証明せよ
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