午後のひとときに算数の問題を解いてみる。
問題
良子さんは、魚屋さんで次の魚をどれも1匹以上買い、ちょうど3600円を支払いました。
1匹あたりの値段はサバが130円、アジが170円、イワシが78円、サンマが104円でした。
さて、アジを何匹買ったのでしょうか。
実に面白い問題ですね。
税については触れていないので、無税だと考えてくださいね。
アジを何匹買ったのかということで、他の魚を何匹買ったのかは、あまり意味を成さないのだという直感が働きます。
つまりアジだけが特別な存在なのだということ。
サバ 130円
アジ 170円
イワシ 78円
サンマ 104円
このままでは特別に見えないので、価格を素因数分解してみましょう。
サバ 130=2x5x13
アジ 170=2x5x17
イワシ 78=2x3x13
サンマ 104=2x2x2x13
算数なので、指数表記はやめました。
アジが特別な存在なのは、素因数に13を持たないということだということがわかります。
アジ以外の単価は13で割り切れるため、アジ以外の合計は必ず13で割り切れるということを意味しています。
合計の3600円を13で割ると、余りは12円になります。
この余り12円は、アジによってもたらされたということに他なりません。
アジの単価170円を13で割ると、余りは1円になります。
12を1で割ると12ですので、アジを最低12匹は買ったことがわかります。
「最低12匹は」と書いたのは、数学的には12 (mod 13)なので、12匹はあくまでも1例で、12+13=25匹といった12+13nの可能性もあるということです。
ただし、アジを25匹も買ってしまうと、170x25=4250で3600円をオーバーするので、結局12匹に限定されるので、そのことさえおさえておけば問題ありません。
さて、アジ以外についても正しいのかを検証する必要があります。
170x12=2040
3600-2040=1560
アジを2040円、アジ以外を1560円となりました。
アジで2040円を作ることは可能ですが、アジ以外で1560円を作ることが出来なければ、問題として不備があることになります。
1560÷13=120=2x2x2x3x5
素因数に5を持つのはサバだけ、
素因数に3を持つのはイワシだけ、
つまり、サバとイワシは同数購入していることになります。
1560÷(130+78)=7...104
余りがサンマの単価になりました。
つまり、アジ以外について1つ以上の解を見つけることができたので、この問題に不備はなく成立しているということです。
アジ | サバ | イワシ | サンマ |
---|---|---|---|
170x12=2040 | 130x1=130 | 78x1=78 | 104x13=1352 |
170x12=2040 | 130x2=260 | 78x2=156 | 104x11=1144 |
170x12=2040 | 130x3=390 | 78x3=234 | 104x9=936 |
170x12=2040 | 130x4=520 | 78x4=312 | 104x7=728 |
170x12=2040 | 130x5=650 | 78x5=390 | 104x5=520 |
170x12=2040 | 130x6=780 | 78x6=468 | 104x3=312 |
170x12=2040 | 130x7=910 | 78x7=546 | 104x1=104 |
パターンは7通りありますが、アジの個数は12ですね。
まぁ、当然の結果です。
さて、後学のため、それぞれの価格はそのままで、合計が3600円ではない場合を考えてみます。
例えば、3613円ならば、
3613÷13=277...12
となって、アジは12匹となりますが、
3613-170x12=1573
1573÷13=121=11x11
11を素因数にもつものは存在しないので、アジの匹数は求められても、それが答えとして正しいことにはなりません。
現実的に考えて、成立しないからですね。
例えば、5810円ならば、
5810÷13=446...12
となって、アジは12匹となりますが、
5810-170x12=3770
3770÷13=290=2x5x29
29を素因数にもつものは存在しないのですが、
アジを更に13匹買ったと考えると、
5810-170x(12+13)=1560
1560÷13=120=2x2x2x3x5
となって1例以上の例がみつかるので、問題に不備はなくなりますね。
ただ、ここまで捻りが効いていると、流石に小学生に解かせる問題ではないようにも思えてきますが、実際に出てきそうで怖いですね。