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Channel: 円周率近似値の日に生まれて理系じゃないわけないだろ! - knifeのblog
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どっちが大きい?

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午後のひとときに、2018年のブルガリアの数学オリンピックにチャレンジします。

問題


6
5

3
 
 
vs
5
4

2
 
 

どっちが大きい?


シンキングタ~イム


数オリだけあって、歯ごたえが違いました。

私は最初、
6≒2.449489<2.45=49/20
が鍵になるのではと予想して取り組みました。

双方を3乗する。
左の指数は3、右の指数は6
となりました。
3>49/20>6
3>49/20
20倍して、
60>49
左の60乗、右の49乗を比べれば解る。
指数が整数なので、
分母の指数回の掛け算、
分子の指数回の掛け算、
もうすこし上手く取り組めば計算回数、計算時間は減らせるが、こんな手計算はエレガントとは言えないだろう。

さて、どうしたものか。

log(1+x)のマクローリン展開で、不等式で挟む方法がある。
-1<x<1
というxの範囲において、
0を中心とするマクローリン展開を考えると、

log(1+x)=x-
x2
2
x3
3
x4
4
+…

項が交互に符号が変わっていることからも解るように、振動しながら収束していく。
最後の項の符号で、+なら上から、-なら下から挟み込める。
項数を増やせば増やすほど、精度は高まるということ。

今回の問題の双方をlogを取って、logの中を(1+x)の形にすると、

3log
1+
1
5

2log
1+
1
4

となり、それぞれのxが決まりましたね。
3≒1.7320508
2≒1.41421356
は、語呂で覚えているので、、末尾を切り捨てるか繰り上げるかで、こちらも挟み撃ちに採用する。
log(1+x)の挟み撃ちは、

x-
x2
2
x3
3
x4
4
<log(1+x)<x-
x2
2
x3
3
x4
4
x5
5

としてみましょうか。

前者は、

1
5
1
2・52
1
3・53
1
4・54
<log
1+
1
5

1
5
1
2・52
1
3・53
1
4・54
1
5・55
1
5
1
50
1
375
1
2500
<log
1+
1
5

1
5
1
50
1
375
1
2500
1
15625
37500-3750+500-75
187500
<log
1+
1
5

37500-3750+500-75+12
187500
34175
187500
<log
1+
1
5

34187
187500
0.1822666<log
1+
1
5

0.1823306


後者は、

1
4
1
2・42
1
3・43
1
4・44
<log
1+
1
4

1
4
1
2・42
1
3・43
1
4・44
1
5・45
1
4
1
32
1
192
1
1024
<log
1+
1
4

1
4
1
32
1
192
1
1024
1
5120
3840-480+80-15
15360
<log
1+
1
4

3840-480+80-15+3
15360
3425
15360
<log
1+
1
4

3428
15360
0.2093520<log
1+
1
4

0.2095354


それぞれ、√も挟み撃ちして掛けてみます。

 

前者は、

1.7320508✕0.18226663log
1+
1
5

1.7320509✕0.1823306
0.315695010343283log
1+
1
5

0.31580587982754


後者は、

1.41421356✕0.20935202log
1+
1
4

1.41421357✕0.2095354
0.296068437213122log
1+
1
4

0.296327806075378

 

となりまして、
前者>後者
が確定しました。


6
5

3
 
 

5
4

2
 
 


さて、これが正しいか、電卓で計算してみると、
1.3713425…>1.3710441…
のようになって、小数点以下第3位まで同じという絶妙な近さの問題であることが解ります。

最初に取り組んで出た60乗と49乗も試してみると、
56347.…>56051.…
となりまして、一応正しさは証明出来ます。

テーラー・マクローリンの級数展開って役に立ちますね。


ではでは

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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