言葉の定義って、数学の定義ほど厳密ではなく、更にいうと言葉は生き物だから、時代や場所や使う人によってかなり曖昧である。
今回気になった言葉が、甘口と辛口。
まずは、いくつかの辞書を調べ得て、共通部分を抜き出してみる。
甘口
1) (辛さよりも)甘さが勝っているもの。
2) 甘いものを好む人。
辛口
1) (甘さよりも)辛さが勝っているもの。
2) 辛いものを好む人。
のように書いていることが多いだろう。
どちらの2)についても言えるのだが、これは甘口、辛口ではなくて、甘党、辛党の意味のように見える。
私は、対義語という表現があまり納得がいっていないというか、言いたいことは解るんだけれども、もう少し細分類したほうが良いと思っている。
甘いの対義語は辛い。
辛いの対義語は甘い。
まぁ、一般的にはそうなんだろうけれども、
では、甘辛いは?
という例で反論する。
さて、甘口、辛口というワードを聞くと何を思い浮かべますか?
市販のカレー粉は、甘口、辛口、中辛といった感じですね。
焼肉のタレも、甘口、辛口、中辛と表記があります。
日本酒も甘口、辛口なんていう表記を見かけることがあります。
では、一つずつ情報を探ってみます。
【カレー】
カレーの辛口、甘口、中辛は、
唐辛子の辛味成分であるカプサイシンと、
胡椒の辛味成分であるピペリンとの、
それぞれの量で決まります。
つまり、甘味成分を出す香辛料がどれだけ入っていようとも、各社メーカーが決めた辛味成分の量に依存しているため甘口になるわけではないということです。
私は日頃から料理をするのですが、幼稚園児にカレーを作って上げたいが、市販のカレールーの甘口でも辛いという認識があるが、子どもようのカレーが売ってなかった場合、どうやって凌ぐかというと、コーンスープの粉、はたまたクリームシチューの粉などを入れると辛味を抑えることが出来ることを知っています。
理系だが化学的な理屈は解っていませんw。
【日本酒】
日本酒の辛口、甘口は、
日本酒の糖度に依存し、糖度が高ければ甘口、糖度が低ければ辛口となっています。
つまり甘くない=辛口ということなのでしょう。
辛味成分のカプサイシンは油やアルコールや酢に溶けやすく、水には溶けにくい。
日本酒に唐辛子を入れたカクテルのようなものがあれば、それこそ辛口なのかもしれませんね。
【焼肉のタレ】
基本のタレのベースには、りんごや梨などの果物が多く使われ、果糖を多く含んでおり、実際に甘いものです。
それに香辛料を加えて辛味を付けていくことで、中辛、辛口といったように変化していく考えてください。
辛さを加えたことで、甘みや旨味がくっきりと際立つということかと思われます。
甘口、辛口の現状がおわかりいただけたでしょうか。
国語辞書は、個々の具象について細かくかいてあるものもあるかとは思いますが、かなり抽象的に留めているのではと感じています。
簡単に言えば、かなり曖昧さを含んだままという感じです。
使う側の自由度が高いというか、曖昧すぎて伝わりにくい可能性もありますね。
まぁ、日本語は曖昧にしておくのが好きな民族なのかもしれないので、言語もそういうことなのでしょうかね。
ではでは