午後のひとときに、素数が無限に存在することの証明について書いてみようと思う。
素数とは、1と自分自身以外に約数を持たない2以上の自然数。
ユークリッドによる背理法での証明が有名だろうか。
素数が有限個しかないと仮定して、それが矛盾していることを示せれば素数は無限個存在する。という流れです。
素数を小さい順にP1、P2、P3、といったようにナンバリングされているとして、
素数が有限個のn個しか存在しないと仮定する。
N=P1・P2・P3・…・Pn+1
という数を考えると、NはP1、P2、P3、…、Pnまでの素数では割り切れないPnより大きな自然数となる。
ここで、Nは素数なので、仮定に反するので、素数は無限個存在する。
としてしまう人がいるがそれは間違いです。
2+1=3 素数
2・3+1=7 素数
2・3・5+1=31 素数
2・3・5・7+1=211 素数
2・3・5・7・11+1=2311 素数
2・3・5・7・11・13+1=30031=59・509 合成数
2・3・5・7・11・13・17+1=510511=19・97・277 合成数
2・3・5・7・11・13・17・19+1=9699691=347・27953 合成数
2・3・5・7・11・13・17・19・23+1=223092871=317・703763 合成数
2・3・5・7・11・13・17・19・23・29+1=6469693231=331・571・34231 合成数
2・3・5・7・11・13・17・19・23・29・31+1=200560490131 素数
2・3・5・7・11・13・17・19・23・29・31・37+1=7420738134811=181・60611・676421 合成数
2・3・5・7・11・13・17・19・23・29・31・37・41+1=304250263527211=61・450451・11072701 合成数
2・3・5・7・11・13・17・19・23・29・31・37・41・43+1=13082761331670031=167・78339888213593 合成数
2・3・5・7・11・13・17・19・23・29・31・37・41・43・47+1=614889782588491411=953・46727・13808181181 合成数
2・3・5・7・11・13・17・19・23・29・31・37・41・43・47・53+1=32589158477190044731=73・139・173・18564761860301 合成数
2・3・5・7・11・13・17・19・23・29・31・37・41・43・47・53・59+1=1922760350154212639071=277・3467・105229・19026377261 合成数
…
とやってみると解るが、Nは素数の場合も合成数の場合もあるのです。
というか、思っているほど素数にならない。
ではどのように証明するかというと、
N=P1・P2・P3・…・Pn+1
という数を考えると、NはP1、P2、P3、…、Pnまでの素数では割り切れないPnより大きな素数または合成数であるが、どちらにしてもP1、P2、P3、…、Pn以外の素数、つまりPnよりも大きな素数が存在し、仮定に反するので、素数は無限個存在する。
ということになります。
Nは必ず素数とは言えないということを間違えないように。
つい最近の証明としては、フィリップ・サイダックの証明を紹介する。
N1を2以上の自然数とする。
N1とN1+1は互いに素なので、
N2=N1・(N1+1)は、N1よりも多くの素因数を持つ。
同様に、
N2とN2+1は互いに素なので、
N3=N2・(N2+1)は、N2よりも多くの素因数を持つ。
これを無限に繰り返すと、素因数が無限に増えていく。
よって、素数は無限に存在する。
さて、この証明方法、実は互いに素というところで、ユークリッドの互除法を使っているんですね。
N1とN1+1は互いに素なので、
と簡単に書いてしまったが、
N1とN1+1は、ユークリッドの互除法より、互いに素なので、
と書くことで、理解度は高まるだろうし、詳しく知りたければユークリッドの互除法を調べれば良い。
もしくは、
N1とN1+1は、連続する2つの自然数は、互いに素なので、
と書けば、読む側が解っていれば説明は不要ということなのです。
実際にやってみる。
N1=2 素因数1個
N2=2・3=6=2・3 素因数2個
N3=6・7=42=2・3・7 素因数3個
N4=42・43=1806=2・3・7・43 素因数4個
N5=1806・1807=3263442=2・3・7・13・43・139 素因数6個
N6=3263442・3263443=10650056950806=2・3・7・13・43・139・3263442 素因数7個
N7=10650056950806・10650056950807=113423713055421844361000442=2・3・7・13・43・139・547・607・1033・31051・3263442 素因数11個
…
Nmは必ずm個以上の素因数を持つことは、Nm-1とNm-1+1が互いに素ということで、Nm-1+1が素数か合成数かに関わらず、必ず1個以上の今まで登場していない素因数に分解されることに他ならない。
また、N1は2以上の自然数であれば、何からスタートしても構わない。
他にも、様々な数学者が素数が無限に存在することの証明をしているので、興味がある人は調べてみるのも良いかと思う。
ではでは