午後のひとときに、数学の公式を拡張して、それを証明してみる。
相加相乗平均
a+b 2 | ≧ | √ab |
から、変数の個数を増やした、
n Σ k=1 | ak n | ≧ | n Π k=1 | n√ak |
を証明せよ。
シンキングタ~イム
これをやってみたかったんです。
数学的帰納法を使うのだろう。
ということは予想できる。
普通に考えれば、2個から3個の場合を考えていくのが一般的なのだろうが、
a+b+c 3 | ≧ | 3√abc |
いきなりですが、4個を証明します。
a+b+c+d 4 | ≧ | 4√abcd | … (1) |
左辺 = | (a+b)/2+(c+d)/2 2 | ≧ | √ab+√cd 2 | ≧ | √√ab・√cd | = 右辺 |
のように式変形をすると、容易に証明出来ます。
等号については、
a=b、c=dのとき、1つ目の等号、
ab=cdのとき、2つ目の等号となります。
左辺と右辺だけをみるならば、
a=b=c=dのときに等号となります。
続いて、4個の変数から変数dを消せれば、3個の場合について証明出来ます。
d = | a+b+c 3 |
とおくと、(1)式は、
a+b+c+(a+b+c)/3 4 | ≧ | 4√abc・(a+b+c)/3 |
左辺の分母分子を3倍すると、
3(a+b+c)+(a+b+c) 12 | ≧ | 4√abc・(a+b+c)/3 |
4(a+b+c) 12 | ≧ | 4√abc・(a+b+c)/3 |
a+b+c 3 | ≧ | 4√abc・(a+b+c)/3 |
両辺を4乗して、
⎛ ⎝ | a+b+c 3 | ⎞ ⎠ | 4 | ≧ | abc・(a+b+c) 3 |
両辺を(a+b+c)/3で割ると、
⎛ ⎝ | a+b+c 3 | ⎞ ⎠ | 3 | ≧ | abc |
両辺を1/3乗すると、
a+b+c 3 | ≧ | 3√abc |
と、n=3について証明出来ました。
a=b=cのとき、等号となります。
これらの操作は汎用性があり、k個
a1+a2+a3+…+ak k | ≧ | k√a1・a2・a3・…・ak |
に対して、倍の2k個
a1+a2+a3+…+a2k 2k | ≧ | 2k√a1・a2・a3・…・a2k |
を、
左辺 = | (a1+a2+a3+…+ak)/2+(ak+1+ak+2+ak+3+…+a2k)/2 2 |
≧ | k√a1・a2・a3・…・ak+k√ak+1・ak+2・ak+3・…・a2k 2 |
≧ | √k√a1・a2・a3・…・ak・k√ak+1・ak+2・ak+3・…・a2k | = 右辺 |
のように式変形して証明出来る。
また、k+1個については、2k個を求めて、そこから1個ずつ減らしていくとして、最後の変数を
a2k = | a1+a2+a3+…+a2k-1 2k-1 |
とおいて代入すると、
左辺 = | a1+a2+a3+…+a2k-1+(a1+a2+a3+…+a2k-1)/(2k-1) 2k |
= | (2k-1)(a1+a2+a3+…+a2k-1)+(a1+a2+a3+…+a2k-1) 2k(2k-1) |
= | a1+a2+a3+…+a2k-1 2k-1 |
≧ | 2k√a1・a2・a3+…・ak-1・(a1+a2+a3+…+a2k-1)/(2k-1) |
両辺を2k乗し、
⎛ ⎝ | a1+a2+a3+…+a2k-1 2k-1 | ⎞ ⎠ | 2k | ≧ | a1・a2・a3+…・ak-1・ | (a1+a2+a3+…+a2k-1) 2k-1 |
⎛ ⎝ | a1+a2+a3+…+a2k-1 2k-1 | ⎞ ⎠ | 2k-1 | ≧ | a1・a2・a3+…・ak-1 |
両辺を1/(2k-1)乗すると、
a1+a2+a3+…+a2k-1 2k-1 | ≧ | 2k-1√a1・a2・a3・…・a2k-1 |
と変数の個数を1減らすことが出来る。
この操作を繰り返すことで、
a1+a2+a3+…+ak+1 k+1 | ≧ | k+1√a1・a2・a3・…・ak+1 |
とすることが出来る。
これらの事実より、
n=1のとき正しく、
n=2のとき正しく、
任意の自然数mに対して、kを取ると、
n=k=2mのとき正しいと仮定すると、
n=k+1=2m+1-2m+1=2m+1のとき正しい。
よって、数学的帰納法より、
n Σ k=1 | ak n | ≧ | n Π k=1 | n√ak |
が示された。
Q.E.D.
これで、相加相乗平均を使った解法を、思う存分色々とやっていけるかと思う。
実は、もう一つ方法があるのだが、出来ることなら明日の記事として上げたいな。
ではでは