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Channel: 円周率近似値の日に生まれて理系じゃないわけないだろ! - knifeのblog
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直方体の惑星を等速で移動

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午後のひとときに、数学の問題を作ったので出題して解いてみる。



問題
上図のような直方体ABCD-EFGHがあり、その表面上を時速60で移動する乗物がある。
AからGへの最短時間を求めよ。
但し、辺でのロスタイムは無いものとする。


シンキングタ~イム


結構ありがちな問題ですが、正答率は低いかと考えます。

時速60という等速で移動する乗物なので、最短時間となるのは、最短距離を通った場合です。
というわけで、
立体の最短距離は、展開図を書いて、直線で結ぶ。
これが鉄則です。
展開図は色々と描けるので、どれが最短かはすべてを調べる必要があります。

今回の問題は、頂点から対頂点なので、最低でも2面は通る直線ということなり、最短距離となるには3面以上通ってはダメということでもあります。



こんな感じで、他にも同じの距離の線を3本、計6本を引くことが出来ます。

等角投影法で描かれてはいるが、見た目に騙されないように、ちゃんと計算してみましょう。

赤線の距離
28502+(1496+1128)2 = 8122500+6885376 = 15007876 = 3874

緑線の距離
14962+(2850+1128)2 = 2238016+15824484 = 18062500 = 4250

青線の距離
11282+(2850+1496)2 = 1272384+18887716 = 20160100 = 4490

赤線が最短距離と解り、
最短時間は、
3874/60 = 64あまり34

答え 64時間34分


簡単に書いたけれど、桁数が多い平方根の計算なので、出来ることなら余計な計算は減らしたいところではありますね。

√のついたまま大小比較をしても構わないですが、それでも計算量が多いことは避けたいですね。

例えば、
周の長さが一定の長方形の中で、対角線が最短となるのは正方形である。
ということを利用すれば、すべての対角線の長さを求めずとも、より正方形に近いものの対角線が最短であることが解る。

別解
周の長さが一定の長方形の中で、対角線が最短となるのは正方形より、
正方形の周の長さは、(1128+1496+2850)×2
正方形の1辺の長さは4で割って、
(1128+1496+2850)×2/4 = 2737
2737に一番近い辺の長さは2850なので、
2850×(1128+1496)の長方形の対角線が他の対角線よりも短い。
よって、
28502+(1128+1496)2 = 6885376+8122500 = 15007876 = 3874
最短距離は3874なので、
最短時間は3874/60 = 64あまり34

答え 64時間34分

と計算量を格段に減らすことが出来ました。


自明と書きましたが、一応証明してみる。

周の長さを2L、長方形の長辺の長さをxとすると、
短辺の長さはL-xとなる。

長方形の面積Sは、
S = x(L-x)
と表せ、展開すると、
S = -x2+Lx
平方完成すると、
S = -(x-L/2)2+L2/4
x = L/2のとき、
S = L2/4
と面積が最大となる。
これより、
周の長さが一定の長方形の中で、面積が最大となるのは正方形。
が証明された。

同様の方法で、

対角線Dは、三平方の定理より、
D2 = x2+(L-x)2
と表わせ、展開すると、
D2 = x2+L2-2Lx+x2 = 2x2-2Lx+L2
平方完成すると、
D2 = 2(x2-Lx)+L2
= 2((x-L/2)2-L2/4)+L2
= 2(x-L/2)2-L2/2+L2
= 2(x-L/2)2+L2/2
x = L/2のとき、
D2 = L2/2
と対角線Dが最短となる。
これより、
周の長さが一定の長方形の中で、対角線が最短となるのは正方形。
が証明された。

これを自明として記述しても問題ないかが争点となってしまうのだろうか。

証明を含めれば問題はないだろう。


さて、今回の問題、いずれの対角線の長さも整数となっていましたが、皆さんはルートを外すこと、つまり素因数分解することが出来たでしょうか?

電卓を使ってしまった人は、是非とも手計算で素因数分解をやってみてください。

15007876を素因数分解する。
末尾の76が4の倍数なので、4で割り切れる。
15007876/4 = 3751969
3、5では割り切れないので、7、11、13の倍数判定をする。
3-751+969 = 221
221は13の倍数なので、13で割り切れる。
3751969/13 = 288613
-286+613 = 327
327は13の倍数なので、13で割り切れる。
288613/13 = 22201
150×150 = 22500
22500-22201 = 299 = 2×150-1
22201 = 149×149

2×13×149 = 3874

18062500を素因数分解する。
末尾が00なので、100の倍数である。
18062500/100 = 180625
末尾が25なので、25の倍数である。
180625/25 = 7225
末尾が25なので、25の倍数である。
7225/25 = 289
289 = 17×17

10×25×17 = 4250

20160100を素因数分解する。
末尾が00なので、100の倍数である。
20160100/100 = 201601
450×450 = 202500
202500-201601 = 899 = 2×450-1
201601 = 449×449

10×449 = 4490


かなり計算が面倒な問題を作ってしまいましたが、いかがだったでしょうか。

いくつかの引っ掛けが仕込まれていましたよね。

素因数分解が出来ずに√が残ってしまった人。
最短時間を求める問題なのの最短距離を答えてしまった人。
時間計算で分を求められなかった人。
他にも途中計算をミスってしまった人などなど。

私も電卓やプログラミングに頼らずに解けるものは、出来る限り手計算で解いていきたいと思いました。


ではでは

 

 


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