午後のひとときに、数学の問題を解いてみる。
図のように正方形ABCDに、線分AB上の点E、線分AD上の点Gを取り、対辺に垂線を下ろした足をそれぞれF、Hとし、交点をIとすると、長方形AEIG、長方形IHCFの面積がそれぞれ1、2となった。
βをαで示すことを目的とするとき、以下の問い従って答えよ。
問題1
代数的に解いて、βをαで示せ。
問題2
幾何的に解いて、βをαで示せ。
シンキングタ~イム
代数が得意な人、幾何が得意な人、どっちも得意な人、どっちも苦手な人がいることだろう。
解く前に、代数とはなんぞや、幾何とはなんぞやという話しをしておきましょうか。
数学の分野を大きく分けると3つに分類されます。
代数学、幾何学、解析学の3つです。
代数学は文字通り、数の代わりに文字を用いて、演算によって関係性を見出していく数学の一分野。
幾何学は、図形や空間についての性質などを扱う数学の一分野。
解析学は、極限や収束を扱う数学の一分野。
大きく分けるとこの3つなのだが、それぞれがそれぞれと関わり合い、組んず解れつしているのが数学です。
それぞれの分野毎に深く掘り下げられていき、更に細分化したり、思わぬところで結合したり、新たな数学の分野が生み出されていたりもします。
まずは代数からやってみましょう。
AE = tan(α)
AG = tan(β)
仮に、正方形の1辺を1とおいて、
ピンクの面積 = tan(α)tan(β)
ブルーの面積 = (1-tan(α))(1-tan(β))
と表せるので、
tan(α)tan(β):(1-tan(α))(1-tan(β)) = 1:2
外項の積は内項の積より、
2tan(α)tan(β) = (1-tan(α))(1-tan(β)) = 1-tan(α)-tan(β)+tan(α)tan(β)
tan(α)tan(β)+tan(β) = 1-tan(α)
tan(β)(tan(α)+1) = 1-tan(α)
tan(β) = | 1-tan(α) 1+tan(α) | = | cos(α)-sin(α) cos(α)+sin(α) |
分母分子に
1/√2 = sin(π/4) = cos(π/4)
のいずれかを掛ける。
(与式) = | sin(π/4)cos(α)-cos(π/4)sin(α) cos(π/4)cos(α)+sin(π/4)sin(α) | = | sin(π/4-α) cos(π/4-α) | = tan(π/4-α) |
tan(β) = tan(π/4-α)
β = π/4-α
こんな簡単な式になりました。
続いては幾何ではどうでしょうか。
ABCDの正方形をAを軸に時計回りに90˚回転させたものが、上段の2つの正方形。
上段の2つの正方形を左右反転し、DをF'に、E'をCの位置に配置したものが、下段の2つの正方形。
∠FAF'は90˚回転させたので、90˚
上段と下段は左右反転させただけなので、AF//F'E''
AF=AF'=F'E'' より、
四角形AF'E''Fは正方形である。
α+βは正方形AF'E''Fの対角線AE''より得られる角なので、45˚。
よって、
β = 45˚-α
弧度法にすると、
β = π/4-α
例えば、代数学では分母分子に値としては同じだが見た目が違うものを掛けるというような発想。
例えば、幾何学では図を回転したり反転したりして組み合わせるというようは発想。
結構な頻度で遭遇するのですが、なかなか閃かないものだったりもします。
とにかく良問を沢山こなすというのが良いのかと思います。
また、今回のようにあえて縛りを設けて、別の方法を模索するのも良いかと思う。
このブログでも、高校の範疇でとか、算数でとか、あえて縛ったりしていますよね。
今回は代数と幾何で縛ってみましたがいかがだったでしょうか。
楽しめたら幸いです。
なお、今回の収穫としては、
tan(π/4-θ) = | 1-tan(θ) 1+tan(θ) |
という恒等式が得られるが、これは公式として見た記憶がない。
左辺から右辺を求めるのは、加法定理から結構容易に求まりますが、右辺から左辺は先とは異なり容易には行かないこともあるので、頭の片隅にでも入れておくのが良いだろう。
ではでは