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Channel: 円周率近似値の日に生まれて理系じゃないわけないだろ! - knifeのblog
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78557がシェルピンスキー数であることの証明

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午後のひとときに、証明問題をやってみよう。

問題
78557がシェルピンスキー数であることを証明せよ。

シェルピンスキー数とは、
正の奇数kに、すべての正の整数nに対して、
k・2n+1がもれなく合成数となるとき、
kをシェルピンスキー数と呼ぶ。


シンキングタ~イム


すべての正の整数nに対して、k・2n+1が合成数となることを証明するには、
nやk・2n+1に対してmodを使って、もれなく場合分けする必要があります。

主に使うのは、フェルマーの小定理なので、
おさらいしておく。

pが素数のとき、
2p-1≡1 (mod p)
が成り立ちます。
1は何乗しても1なので、modの計算ではかなり重宝されます。


では、証明してみましょう。

まずは、
Sn=38557・2n+1
とおく。

n≡0 (mod 2)のとき、
フェルマーの小定理より、
22=4≡1 (mod 3)
78557≡2 (mod 3)
より、
n=2mとすると、
S2m=78557・22m+1
≡2・1+1 (mod 3)
≡0 (mod 3)
これより、nが偶数のとき、Snは必ず3で割り切れる。

n≡1 (mod 2)のとき、
更に、n≡1 (mod 4)とn≡3 (mod 4)に場合分けする。

n≡1 (mod 4)のとき、
フェルマーの小定理より、
24=16≡1 (mod 5)
78557≡2 (mod 5)
21≡2 (mod 5)
より、
n=4m+1とすると、
S4m+1=78557・24m+1+1
=78557・(24)m・21+1
≡2・1・2+1 (mod 5)
≡5 (mod 5)
≡0 (mod 5)
これより、nが4で割ると1余るとき、Snは必ず5で割り切れる。

n≡3 (mod 4)のとき、
更に、n≡3 (mod 12)、n≡7 (mod 12)、n≡11 (mod 12)に場合分けする。

n≡7 (mod 12)のとき、
フェルマーの小定理より、
26=64≡1 (mod 7)
78557≡3 (mod 7)
27=128≡2 (mod 7)
より、
n=12m+7とすると、
S12m+7=78557・212m+7+1
=78557・(26)2m・27+1
≡3・1・2+1 (mod 7)
≡0 (mod 7)
これより、nが12で割ると7余るとき、Snは必ず7で割り切れる。

n≡11 (mod 12)のとき、
フェルマーの小定理より、
212=4096≡1 (mod 13)
78557≡11 (mod 13)
211=2048≡7 (mod 13)
より、
n=12m+11とすると、
S12m+11=78557・212m+11+1
=78557・(212)m・211+1
≡11・1・7+1 (mod 13)
≡78 (mod 13)
≡0 (mod 13)
これより、nが12で割ると11余るとき、Snは必ず13で割り切れる。

n≡3 (mod 12)のとき、
更に、n≡3 (mod 36)、n≡15 (mod 36)、n≡27 (mod 36)に場合分けする。

n≡3 (mod 36)のとき、
29=512≡1 (mod 73)
78557≡9 (mod 73)
23=8≡8 (mod 73)
より、
n=36m+3とすると、
S36m+3=78557・236m+3+1
=78557・(29)3m・23+1
≡9・1・8+1 (mod 73)
≡73 (mod 73)
≡0 (mod 73)
これより、nが36で割ると3余るとき、Snは必ず73で割り切れる。

n≡15 (mod 36)のとき、
フェルマーの小定理より、
218=262144≡1 (mod 19)
78557≡11 (mod 19)
215=32768≡12 (mod 19)
より、
n=36m+15とすると、
S36m+15=78557・236m+15+1
=78557・(218)2m・215+1
≡11・1・12+1 (mod 19)
≡133 (mod 19)
≡0 (mod 19)
これより、nが36で割ると15余るとき、Snは必ず19で割り切れる。

n≡27 (mod 36)のとき、
フェルマーの小定理より、
236=68719476736≡1 (mod 37)
78557≡6 (mod 37)
227=134217728≡6 (mod 37)
より、
n=36m+27とすると、
S36m+27=78557・236m+27+1
=78557・(236)m・227+1
≡6・1・6+1 (mod 37)
≡37 (mod 37)
≡0 (mod 37)
これより、nが36で割ると27余るとき、Snは必ず37で割り切れる。

よって、すべての正の整数nに対して、Sn=78557・2n+1はもれなく合成数であり、k=78557はシェルピンスキー数である。
Q.E.D.


これ考えた人すげーな。
それぞれの場合分けに対して、Sn≡0となるmodが見つけられている。
modの計算の途中計算も、あえて泥臭いけど書いておいたので、
なぜそうなるのかが解るだろう。


さて、78557が最小のシェルピンスキー数かは、未解決問題です。
どうやって攻め込もうかな。
プログラミングしてみるかな。


ではでは


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