タイトルの、チキンマックナゲットの定理。
数学には面白い名前を持つものがある。
マクドナルドが、チキンマックナゲットを販売し始めた当初、
9個入/箱、20個入/箱の2パターンでの販売をしていました。
そこで問題です。
9個入/箱、20個入/箱、それぞれを何箱か買ったとして、
チキンマックナゲットの個数として買えない最大の数はいくつ?
この問題の解法として、
横20マスの表を作ります。
上記のように横軸を0~19、縦軸を0~10(9+1くらい)作る。
表を右から左へ0から埋めていく。
ここまでが準備です。
まず、日本語的には変ですが、数学的には解りやすいように、0個のチキンマックナゲットは買えると考えます。
0個が買えたので、20個入の箱を増やしていっても買えるということですので、0から下方向にはすべて買えることになります。
続いて、9個入を考えると、9個は買えるわけで、+20個される9の下も同様に買えます。
続いて、9個入を2個買ったと考えると、18個は買えるわけで、+20される18の下も同様に買えます。
上記作業を繰り返していくと、9と20は互いに素なために、どの縦軸も色が付きましたね。
色が付かなかったところの最大、つまりこの表だと151個が答えとなります。
9個入/箱と20個入/箱のチキンマックナゲットで、買えない最大の個数は151個。
ということが解りました。
これを数学的に一般化します。
言葉が数学的になりますので、ご了承下さい。
チキンマックナゲットの定理
互いに素な正の整数m、nにおいて、
非負整数a、bを用いて、
am+bnの形で表せない最大の整数は、
mn-m-n
実際の値を当てはめてみます。
m=20、n=9
mn-m-n=20×9-20-9=180-20-9=151
先の表を使って求めたものと同じ値が出ましたね。
チキンマックナゲットの定理を使って答えを求めることが出来ましたね。
なぜ、mn-m-nで求まるのか、これを証明してみましょう。
定理にも出てきましたが、mとnは互いに素でなければなりません。
例えば、2個入/箱と4個入/箱では、表を作っても、すべての縦軸が塗られることはありません。
また、横軸を9、縦軸を20以上でも同様の操作で151を導けます。
もし、表を使って求めるならば、横軸を小さい値の方を設定したほうが、楽に求まるとも言えますね。
数学では、mとnが正の整数のよぅに指定された場合、
m>nのように大小を決めてしまうことで、同じ計算を何度もさせなくてよくなるようにするテクニックがあります。
今回のチキンマックナゲットの定理も、
m>nとすることで、
m=20、n=9と固定されますね。
結果的にmn-m-nなので、mnは交換可能であり、-m-nも交換可能であるために、固定させなければならないわけではないですが、証明するならば固定させるために大小を決めるということをやっておくと楽だということです。
m>nとし、
0≤i<m、0≤j<m、i≠j
を満たす整数i、jに対し、
in≢jn (mod m)
となることを証明できればよい。
仮に、
in≡jn (mod m)
ならば、
(i-j)n≡0 (mod m)
となり、
mとnは互いに素より、
nはmの倍数ではないので、
(i-j)がmの倍数でなければならない。
故に、
i-j≡0 (mod m)
となり、i-jの範囲を考えると、
-m<i-j<m
となり、
i-j=0となり、
i≠jと矛盾する。
よって、
in≢jn (mod m)
は正しい。
こんな感じで証明されるんでしょうね。
現在の日本のメニューでは、
5ピースと15ピースは互いに素ではないので、チキンマックナゲットの定理は使えないTT
UKのメニューには、
20ピースが健在のようです。
3と6、6と20は互いに素ではないので、
3ピースと20ピースでは、3×20-3-20=38ピースが購入できない最大の個数
ということですね。
アメリカでは4、6、10、20、40ピースがあるようです。
ではでは