自分が小学生のころから研究しているものの一つ。
ピタゴラス数。
a2+b2=c2
a, b, c∈N
そして、ついに最大の成果である
⎜
⎝-1
-2
-2-2
-1
-22
2
3⎞
⎟
⎠⎛
⎜
⎝a
b
c-a
b
ca
-b
c-a
-b
c⎞
⎟
⎠=⎛
⎜
⎝a0
b0
c0a1
b2
c3a2
b2
c2a3
b3
c3⎞
⎟
⎠
この行列式の発見。
ここから、既約ピタゴラス数は3分木構造をしていることを発見する。
逆に既約ピタゴラス数の3分木構造を全単射して、
⎝-1
02
1⎞
⎠⎛
⎝m
nn
m-m
n-n
m⎞
⎠=⎛
⎝m0
n0m1
n1m2
n2m3
n3⎞
⎠
という新たな行列式を得る。
⎜
⎝-1
-2
-2-2
-1
-22
2
3⎞
⎟
⎠=P-1
と逆行列が等しいという性質も、
⎝-1
02
1⎞
⎠=R-1
ちゃんと受け継がれている。
この木の正体は、m、nが互いに素の木であった。
2つの自然数m、nが互いに素の木は、2本あって、
(2, 1)を根とするもの、(3, 1)を根とするものであった。
既約ピタゴラス数の木と全単射の関係にある木は、(2, 1)を根とする木であった。
といったところまで話しが進みました。
さて、これ以上どんな展開が待ち受けているのか。
ピタゴラスの定理に似たもの、余弦定理に話しを広げます。
c2=a2+b2-2・a・b・cos(C)
これが余弦定理です。
ピタゴラス数のように、a、b、cが自然数であったならば、cos(C)も整数や有理数になれば、等号が成り立つ場合がありますね。
cos(90˚)=0、これがピタゴラス数の場合ですね。
cos(120˚)=-1/2
cos(60˚)=1/2
の2つ。
cos(120˚)=-1/2を代入すると、
a2+ab+b2=c2
cos(60˚)=1/2を代入すると、
a2-ab+b2=c2
という式になる。
このような(a, b, c)を辺に持つ三角形には既に名前が付いており、
アイゼンシュタイン三角形と呼ばれている。
というわけで、(a, b, c)の組をアイゼンシュタイン数と呼ぶこととする。
120˚のアイゼンシュタイン数、60˚のアイゼンシュタイン数といったように、使い分けることとします。
これらの式を、ユークリッドの方法のように、m、nを使って表すと、
120˚のアイゼンシュタイン数は、
a=m2-n2
b=2mn+n2
c=m2+mn+n2
60˚のアイゼンシュタイン数は、
a=m2-n2
b=2mn-n2
c=m2-mn+n2
といったように表すことができる。
これらも行列式の形にできるのではなかろうか。
120˚のアイゼンシュタイン数の行列式は、
⎜
⎝-3
-4
-6-4
-3
-64
4
7⎞
⎟
⎠⎛
⎜
⎝m2-n2
2mn+n2
m2+mn+n2n2-m2
2mn+m2
m2+mn+n2m2-n2
-2mn+n2
m2-mn+n2n2-m2
-2mn+m2
m2-mn+n2⎞
⎟
⎠=⎛
⎜
⎝a0
b0
c0a1
b2
c3a2
b2
c2a3
b3
c3⎞
⎟
⎠
60˚のアイゼンシュタイン数の行列式は、
⎜
⎝-1/3
-4/3
-2/3-4/3
-1/3
-2/34/3
4/3
5/3⎞
⎟
⎠⎛
⎜
⎝m2-n2
2mn-n2
m2-mn+n2n2-m2
2mn-m2
m2-mn+n2m2-n2
-2mn-n2
m2+mn+n2n2-m2
-2mn-m2
m2+mn+n2⎞
⎟
⎠=⎛
⎜
⎝a0
b0
c0a1
b2
c3a2
b2
c2a3
b3
c3⎞
⎟
⎠
といったように、ピタゴラス数のときのような符号だけの変更といった単純には行かなかったが、mとnを使って表すことは出来た。
それぞれの根ノードは、
120˚のアイゼンシュタイン数では、
(m, n)=(2, 1) ⇔ (a, b, c)=(3, 5, 7)
(m, n)=(3, 1) ⇔ (a, b, c)=(8, 7, 13)
60˚のアイゼンシュタイン数では、
(m, n)=(2, 1) ⇔ (a, b, c)=(3, 3, 3)
(m, n)=(3, 1) ⇔ (a, b, c)=(8, 5, 7)
となる。
ただし、m、nが互いに素であっても、(a, b, c)が互いに素にならないものが、木の中で現れるので、この辺はまだまだ研究の余地がある。
手計算ではかなり面倒ではあるが、プログラミングであれば、そこは問題に成らないだろう。
60˚のアイゼンシュタイン数の行列式の掛けられる側の行列が、自然数ではなく有理数となったことも興味深い事実である。
また、アイゼンシュタイン数の行列式の掛ける側の行列が、前半の2列、後半の2列で、120˚と60˚で入れ替わることも興味深い事実である。
つまり、解の親ノード、第一子ノードは、親をたどると自身と同じ度数のアイゼンシュタイン数であるが、解の第二子ノード、第三子ノードの親をたどると自身とは異なる度数のアイゼンシュタイン数となっているということでもある。
例えば、2本の木の中で、既約アイゼンシュタイン数はどれくらいの確率で現れるのかを調べる必要はあるだろう。
また、別の木に(a, b, c)が(b, a, c)として現れたりもする。
とにかくカオスである。
アイゼンシュタイン数の木、4本を第3階層まで展開してみると、
(3, 5, 7) | (5, 16, 19) | (7, 33, 37) |
(45, 32, 67) | ||
(55, 57, 97) | ||
(15, 9, 21) | (33, 72, 93) | |
(35, 13, 43) | ||
(65, 88, 133) | ||
(21, 24, 39) | (39, 105, 129) | |
(77, 40, 103) | ||
(119, 145, 229) |
(8, 7, 13) | (16, 39, 49) | (24, 95, 109) |
(112, 75, 163) | ||
(144, 155, 259) | ||
(24, 11, 31) | (56, 115, 151) | |
(48, 15, 57) | ||
(96, 135, 201) | ||
(40, 51, 79) | (72, 203, 247) | |
(160, 87, 217) | ||
(240, 287, 457) |
(3, 3, 3) | (5, 8, 7) | (7, 15, 13) |
(45, 24, 39) | ||
(55, 39, 49) | ||
(15, 7, 13) | (33, 40, 37) | |
(35, 11, 31) | ||
(65, 56, 61) | ||
(21, 16, 19) | (39, 55, 49) | |
(77, 32, 67) | ||
(119, 95, 109) |
(8, 5, 7) | (16, 21, 19) | (24, 45, 39) |
(112, 57, 97) | ||
(144, 105, 129) | ||
(24, 9, 21) | (56, 65, 61) | |
(48, 13, 43) | ||
(96, 85, 91) | ||
(40, 33, 37) | (72, 105, 93) | |
(160, 69, 139) | ||
(240, 189, 219) |
太文字で示したノードが既約でないアイゼンシュタイン数です。
いずれもgcd(a, b, c)=3である。
どの木にも現れており、確率を求めるのは困難を極めるだろう。
赤文字は、親子関係にありながら、aとbが入れ替わっている。
青文字は、直系ではないが、同じ根の木にありながら、aとbが入れ替わっている。
緑文字は、別の根の木に、aとbが入れ替わっている。
黄文字は、同じ根の木の別系の同じ階層にありながら、aとbが入れ替わっている。
水文字は、別の根の木の同じ階層にありながら、aとbが入れ替わっている。
いずれも必要であれば3で約分する。
ピタゴラス数のときも、(m, n)=(2, 1)を根とする全単射は(a, b, c)=(3, 4, 5)を根とする既約ピタゴラス数の木であったが、(m, n)=(3, 1)を根とする全単射は(a, b, c)=(8, 6, 10)を根とするピタグラス数の木となっており、gcd(a, b, c)=2なので、約分すると(a, b, c)=(4, 3, 5)となり、aとbが入れ替わっている。
ピタゴラス数の木においては、遺伝的に木が構築されているのだが、アイゼンシュタイン数の木に遺伝的性質を見出すのは困難である。
とりあえず、ピタゴラス数と行列式の研究は、この辺りで止まっている。
ピタゴラス数、互いに素、アイゼンシュタイン数の行列式の挙動を見ることができるツールをowndに構築してあります。
Matrix Multiplication of Ternary Tree
https://knife1968.amebaownd.com/posts/3850633
とりあえず、約40年に渡る研究成果はこんなところです。
まぁ、ブログに書いていない部分でも、研究成果としては沢山存在する。
特に、プログラミングにおいて、木構造は再帰処理との親和性が高く、面白い題材ではある。
高校数学の学習指導要領で、突然消されたり、突然復活させられたり、いろいろ変動が激しい数学の世界。
我々が高校生だったころは線形代数に行列式が含まれており、数学Cに含まれ、消され、また復活する?という状況である。
線形代数で習っていた頃は、連立方程式を簡単に表す手法とか、コンピュータのデータとして扱いやすいとか、高校レベルではその程度の感じで、それが具体的にどうこうという目標が乏しく、おそらくそういった要因から消されたりしたんだろうか。
復活する可能性は、昨今のAI、ディープラーニング、ビッグデータといったものが一般的なワードとして定着しつつあり、行列式や確率統計というものがより身近になったことによるものだと思われます。
かれこれ30年前の大学時代も、代数学、線形代数学、あたりで出てはくるのだが、抽象的な話しばかりで、具体例が乏しいと私は感じていました。
まぁ、そこまで熱心にやってはいなかったですけど。
私の研究成果であるピタゴラス数、2つの自然数が互いに素、アイゼンシュタイン数の行列式は、高校レベルの行列式の題材として使えるものだと思います。
逆行列とは何か、逆行列が等しいと何が起こるのか、行列をスカラー倍する意味とは、この辺りを学ぶのに適しているだろう。
ちょっと自画自賛しすぎたかな。
ではでは