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Channel: 円周率近似値の日に生まれて理系じゃないわけないだろ! - knifeのblog
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3つの直角三角形の面積の関係 -解答編-

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午後のひとときに、数学の問題を解説してみる。

解き方や答えを知りたくなければ、速やかに閉じてください。



問題
図のように3つの直角三角形が出来るよう、
長方形に正三角形を内接させたところ、
右下(水色)の直角三角形の面積が5、
左上(黄緑)の直角三角形の面積が3となった。
右上(ピンク)の直角三角形の面積を求めよ。


この問題、私は数日かけて考えてしまいました。

結構面倒な計算をして答えが出たんですが、あまりにも簡単な答えすぎて、ちょっとパニックになったくらいです。

答えは8です。

ずいぶんときれいな値が出たと思いました。

私が最初にやった方法は、水色の直角三角形の左下の内角をθ、正三角形の辺の長さをtとして、tとθを使った連立方程式で、

t=2・141/2・3-1/4≒5.68608961191
θ=2arctan((2√7-5)/√3)≒19.1066053509˚

のように求めて、ピンクの面積を求めました。

結果的に、このような形で正確な図で出題するには、値は必要だったので、結果は無駄にはなりませんでした。

正確な図をHTML5で作り、どういう図形的な変形で求まるのか試行錯誤しましたが、図形的なアプローチを断念して、代数的に考えました。

ここからが解答です。

水色の面積をB、黄緑の面積をG、ピンクの面積をPとし、正三角形の辺の長さをt、水色の三角形の左下の角をθとします。

水色の直角以外のもう一つの角は、90˚-θ、
ピンクの下の角は、180˚-60˚-(90˚-θ)=30˚+θ、
黄緑の下の角は、90˚-60˚-θ=30˚-θ、
のように数珠つなぎのように求まります。

それぞれの直角三角形の斜辺はtと等しく、
それぞれの直角三角形の面積を、底辺×高さ÷2の式で求めると、
但し、底辺と高さの順番は無視し、結果の式が似通うようにします。

B=(t・sin(θ))(t・cos(θ))/2=(t2/2)sin(θ)cos(θ)
G=(t・sin(30˚-θ))(t・cos(30˚-θ))/2=(t2/2)sin(30˚-θ)cos(30˚-θ)
P=(t・sin(30˚+θ))(t・cos(30˚+θ))/2=(t2/2)sin(30˚+θ)cos(30˚+θ)

のように表せる。

加法定理
sin(α±β)=sin(α)cos(β)±cos(α)sin(β)
もしくは2倍角
sin(2α)=2sin(α)cos(α)
より、
sin(α)cos(α)=sin(2α)/2
と変形できるので、

B=(t2/4)sin(2θ)

同様にGとPは更に加法定理を使い、

G=(t2/4)sin(60˚-2θ)=(t2/4)(sin(60˚)cos(2θ)-cos(60˚)sin(2θ))
P=(t2/4)sin(60˚+2θ)=(t2/4)(sin(60˚)cos(2θ)+cos(60˚)sin(2θ))

のように変形する。

ここで唐突だが、PとGがプラスとマイナスの違いだけなので、cos(60˚)sin(2θ)が残るように、P-Gを求めると、

P-G=(t2/4)(2cos(60˚)sin(2θ))
cos(60˚)=1/2より、
P-G=(t2/4)sin(2θ)=B


P=B+G=3+5=8
となる。

つまり、tやθには依存しない恒等式なのです。

例えば、t=1として、θの取りうる値、0≦θ≦30˚、で1˚刻みで求めてみると、



のようになり、θの値に依存せず、P=B+Gが常に成り立っていることがわかる。

この表の結果から、幾何的、代数的なアプローチを試したわけです。

幾何的、図形的な変形でアプローチ出来そうな予感はあるのですが、ここは宿題としておきます。


ではでは


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