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バーゼル問題を中学数学レベルで理解するには

バーゼル問題とは、
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平方数の逆数の総和を求める問題です。
以前、オイラーがどのように求めたのかを記事にしました。


高等数学の話しなので、もうすこし簡単な方法はないものかという話しです。

中学生で習うレベルのものだけで理解出来たらすごいですよね。

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1行目のx=の式がバーゼル問題を数学的に正しく記述したものです。

Σやlimを使って記述するのが本来は正しいので、1行目の括弧内の…までの記述は多少厳密性に乏しいのですが、Σやlimの記述を知らないので致し方ないことでもあります。

バーゼル問題をx=の式とし、奇数項と偶数項に分け、y=奇数項の和、z=偶数項の和とします。

z=の式に着目すると、すべての分母は 22 という共通因数があり、これを括弧の外に出すと、括弧内はバーゼル問題そのものです。
zをxの式で表せたので、zを消して、xとyの式が出来上がります。

つまり、yが求まればxが求まるので、yを求めればバーゼル問題も解決するという算段です。


では、どんな中学レベルの数学の知識で導くのか。

1つ目は、円周角の定理、もしくはタレスの定理です。
2つ目は、ピタゴラスの定理です。
どちらも中学数学レベルの知識です。

円周角の定理とは、
ある円におけるいかなる円弧に対しても、中心角は円周角の2倍、もしくは円周角は中心角の半分となる。

タレスの定理とは、
直径の円周角は直角である。

というもので、直径を中心角とするならば、中心角は180˚ですから、円周角は半分の90˚ですね。
タレスの定理は、円周角の定理から導けます。

直径と円周角で直角三角形が出来ます。
ここでピタゴラスの定理を使います。

ピタゴラスの定理は、そのままでは使いませんので、式を変形します。

直角三角形の斜辺cとし、残りの辺をa、bとすると、
a2+b2=c2
が成り立ちます。
斜辺を底辺として、頂点Cから底辺へ垂線の足を下ろしたとして、高さをhとする。
この直角三角形の面積は、直行する辺aと辺bから求る方法と、辺cと高さhから求める方法があります。

双方の面積を等号で結んで、
ab/2=ch/2
ab=ch
c=ab/h

これをピタゴラスの定理に代入すると、
a2+b2=(ab/h)2
両辺を(ab)2で割ると、
a2/(ab)2+b2/(ab)2=(ab/h)2/(ab)2
1/b2+1/a2=1/h2

1/a2+1/b2=1/h2


この式を物理学の逆2乗の法則に適用します。
高校物理ですが、数式の内容は中学レベルです。

逆2乗の法則とは、
物理量の大きさがその発生源からの距離の2乗に反比例する、という法則である。

簡単に言えば、距離がLならば、物理量は1/L2ということです。

つまり、ピタゴラスの定理の変形式は、ある物理量を2つの物理量の和と考えることが出来ます。

物理量というのも解り難いので、ある一定の明るさを持つ光源の、ある地点の明るさだと考えましょうか。
光源が垂線の足にあったとすると、
頂点Cにおける、距離hの物理量は1/h2
光源が頂点AとBにあったとすると、
頂点Cにおける、
距離bの物理量は1/b2
距離aの物理量は1/a2
となり、頂点Cにおける明るさは、前者と後者は等しいということです。

そこで、以下のような図を考えます。

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  1. xy座標を描きます。便宜上y軸の目盛りは2/π単位としています。
  2. 原点(0, 0)と(0, 2/π)の点を記します。
  3. この2点の距離は2/πです。
  4. (0, 2/π)を中心とする半径2/πの円を描く。
  5. (0, 2/π)を通り、y軸に直交する線を引き、円周との2交点を記す。
  6. 円周上の2交点(-2/π, 2/π)、(2/π, 2/π)と、原点(0, 0)をそれぞれ直線で結び、三角形を描く。
  7. 2交点間は中心を通るので直径ですので、原点(0, 0)の内角は直角です。
    円周角の定理、タレスの定理です。
  8. (0, 2/π)を光源とする原点(0, 0)における明るさと、
    半径2/πの円周上の2点を光源とする原点(0, 0)における明るさは等しいことが、
    ピタゴラスの定理の変形式です。
  9. 円周上の隣り合う点の円周上の距離は、原点を除くと2で、原点と隣り合う点の距離は1であることが解ります。
    半径を2/πにしたのは円周の距離を整数にするためです。
  10. (0, 4/π)を中心とする半径4/πの円を描く。
  11. (0, 2/π)を中心とする円周上の2点それぞれと、(0, 4/π)を通る直線を引き、円との2交点を記す。
  12. 2交点と原点を(0, 0)をそれぞれ直線で結び、三角形を描くと、円周角の定理より直角三角形となります。
    同様に他の点についても行う。
  13. これらの操作を繰り返すことで、(0, 2/π)の光源を、異なる2光源の和とし、
    更にそれらの光源を、異なる2光源の和としていくことを繰り返します。
    これにより、円の半径は倍々に増え、光源の個数も倍々に増えていきます。
    同一円周上の隣り合う光源の円周上の距離は等しく2です。
  14. (0, 2/π)を中心とする半径2/πの円が描かれると、円周はx軸と重なります。
    本来∞は、このように記述することは出来ませんが、中学レベルということでご了承ください。
最終的に、有限から無限へと話しが進むので、イメージしづらいかもしれませんが、上記のアニメGIFを見れば、円周がx軸に重なっていく様子が容易に理解出来るでしょう。

さて、
x軸上に無数に並んだ光源による原点(0, 0)における明るさは、
元々の(0, 2/π)の光源による原点(0, 0)における明るさと等しいので、
x軸上の光源は奇数上にあり、2乗して逆数を取ると、y=の式の2個分に相当する。

よって、距離2/πを2乗して逆数を取ると、2yと等しいので、
2y=1/(2/π)22/4
y=π2/8
x=(4/3)(π2/8)=π2/6

バーゼル問題が中学レベルの数学の知識で解けました。


ではでは

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