昨晩の友のラジオで、話題にのぼっていたので、書いてみます。
指矩、指金、差金、曲尺、矩尺、金尺、など、いろいろな漢字表現があり、
さしがね、かねじゃく、かねざし、まがりじゃく、まがりざし、かね、など、いろいろな呼称表現もあります。
以後、この記事内では日本工業規格に則って曲尺と表記するが、読みは各自で呼びなれたものでよいだろう。
さて、あまり知られていない利用方法があることをココで紹介します。
このブログで紹介するので察するかとは思いますが、ネタとしては数学的な理屈のものとなっております。
曲尺には丸目や角目といって、通常のスケールとは別に刻まれたスケールが存在します。
単位が尺貫法なのか、メートル法なのか、ヤード・ポンド法なのかは、ここでは重要ではない。
ある所の長さを測ったら、目盛りが100を指しました。
丸目で同じ所を測ったら目盛りは約314.15を指します。
角目で同じ所を測ったら目盛りは約70.71を指します。
丸目や角目は上記のようなスケールで目盛りが刻まれているということです。
なぜ、このようなスケールなのでしょう。
例えば、ここに円柱の木材があったとして、
丸目で円柱の断面の直径を測ると、円周の長さが、
角目で円柱の断面の直径を測ると、その円柱から切り出せる最大の正四角柱の辺の長さが、
計算せずとも解るのです。
このくらいは、おそらくどこにでも書いてあることで、これだけが便利な機能のように注目されていたりします。
ここからが、あまり書かれていない話しです。
先程から、円柱の直径がどうのこうの書いているが、果たしてその直径はどうやって判断したのでしょうか?
正四角柱の対角の長さを測るのであれば、正確に測ったり直線を引いたりできるが、問題は円柱の直径である。
長さが最大になるところが直径といったような測り方も出来なくはありませんが、この方法で実測すると精度が甘くなってしまいます。
皆さん、中学の数学は義務教育ですから学んできたことでしょう。
円周角とか中心角とか習いましたよね。
直径の両端と円周上の点を結んだ角、つまり直径の円周角は常に直角である。
もうおわかりいただけたでしょうか。
曲尺の角を円周上のどこかに内側から当て、長手と円周の交点、短手と円周の交点に印を付け、それらの点同士を結べば、容易に直径を求めることが出来ます。
更に円周上の別の点で同じ操作をすることで、交差する直径が描かれ、円の中心を容易に求めることが出来ます。
これを伝えている記事は本当に少ないです。
これこそが、曲尺が直角に曲がっている要因の一つだと考えます。
なぜなら、わざわざ角目を使って正四角中の対角の長さを測って、1辺の長さを知る必要はないですよね。
すでに正四角中の角材があるのだから、素直に測れば良いでしょう。
つまり、丸太から角材を切り出す必要があるわけです。
実際の切り出した木材が、真円の円柱かと言えばそうではありませんが、先の手法を何度か繰り返すことで、円柱や角柱を切り出すための中心の目処を付けることが出来ます。
柾目とか板目とかがあるので、中心とされる位置は職人の経験や腕の見せ所でしょうね。
さて、中心が決まって、丸材を切り出そうとするならば、コンパスのようなものが必要ですね。
コンパスを漢字にするならば、規矩準縄(きくじゅんじょう)の規です。
規:円を描くための道具。コンパス。
矩:今回説明している曲尺のこと。
準:水平を測るための道具。水準器。
縄:直線を描く道具。墨縄。
この四字熟語については、もっと掘り下げたいので別記事にします。
ではでは
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ほとんどの人が知らない曲尺の便利な使い方
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