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お盆について完全解決を試みる

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昨晩のラジオで上がった話題。

お盆について書いてみようと思う。

私は東京に住んでいるので、お盆は7月15日、この7月のお盆のことを新盆と呼ぶ。
呼ぶと書いたが、読みが3通りもある。
私は新潟出身の母親の影響でか「あらぼん」と読むが、一般的には「にいぼん」とも読み、私の知らないところでは「しんぼん」とも読むらしい。

7月のお盆の「新盆」に対して、8月のお盆を「旧盆」と呼ぶ。
こちらは「きゅうぼん」と、読みの揺れは存在しない。

また、7月にあるお盆だから7月盆、8月にあるお盆だから8月盆という呼び方もあります。

なんでこんなにややこしいのか。
実は、もっとややこしいのです。
心して掛かってください


まず、お盆とはなんぞやというところから解説していきます。

お盆とは日本の旧暦における7月15日に行われていた、ご先祖様を供養する行事である。
日本の旧暦は太陰太陽暦(たいいんたいようれき)で、その前は大まかに言えば太陰暦(たいいんれき)です。
太陰太陽暦とは、簡単に言えば、お月さまの満ち欠けと一ヶ月とを合わせ、太陽を基準に一年を定めた暦です。

まず、お月さまの満ち欠け、新月が1日、満月が15日になるように、年月の月を設定します。
逆に言えば、毎月1日が新月で、15日が満月ということです。
なので、十五夜というと、満月の夜ということですね。

ここからもわかる通り、旧暦である太陰太陽暦、もっと大きいくくりで言えば太陰暦であれば、お盆である7月15日は必ず満月ということになります。
つまり満月に行われていた行事ということですね。

天文学的な話しをすれば、満月ということは、太陽と地球と月が一直線に並んでいるとも言えます。
月の満ち欠けの周期は約29.5日なので、月の大小は大の月が30日、小の月が29日なっており、更に閏月(うるうづき/じゅんげつ)というもので1年を調整し、1年が12ヶ月とは限らない複雑なものとなっています。

月の大小や閏月に関して詳しく知りたければ、過去記事を参照してくださいな。
月の大小
閏月

太陰太陽暦は理解出来たでしょうか。


では、お盆という名称はどこから来たのか。

太陰太陽暦における15日とは、何月であろうと満月である。
つまり、7月であろうが8月であろうが、太陰太陽暦において15日は満月なのです。
「月」という童謡には、
♫出た出た月が まあるい まあるい まんまるい 盆のような月が
という歌詞の通り、満月の比喩として盆が登場したりもしますので、満月と盆は切っても切れない関係にあったことが容易に推測できます。
こういったことも含めてお盆という名称になったとも考えられますが、おそらくは仏教の「盂蘭盆会(うらぼんえ)」から来ている名称だと思われます。

この太陰太陽暦を旧暦(きゅうれき)、その次のというか現行の暦であるグレゴリオ暦を新暦(しんれき)と呼びます。

そこから、旧暦のお盆を「旧のお盆(きゅうのおぼん)」や「旧盆」、新暦のお盆を「新のお盆(しんのおぼん)」や「新盆」と呼ぶ。
ということになります。

つまり、新盆は7月15日という日付を重視して現行暦の7月15日として採用したということ。
旧盆は、旧暦の7月15日に該当する現行暦の日付で、年によって日付が定まらないことになります。
そういうこともあって、旧暦の満月である15日を重視して月遅れの8月15日と定めたのでしょう。
また、旧暦を厳密に遂行して行う地域も残っていて、奄美大島や沖縄などがそれに該当します。
それ以外の地域では、新盆の7月15日を採用しようとしたが、農村地帯では農繁期な為、月遅れのお盆の8月15日とするところが増えたということです。
そういったこともあり、都市部では7月15日、農村部では8月15日、奄美大島や沖縄では2018年であれば8月25日というように、大きく3つのパターンに別れてしまったということです。

因みに旧暦の7月15日を新暦に当てはめると、
2013年8月21日
2014年8月10日
2015年8月28日
2016年8月17日
2017年9月5日
2018年8月25日
2019年8月15日
2020年9月2日
2021年8月22日
2022年8月12日
2023年8月30日
といったように、かなりの揺れがあります。

さて、新盆の読みですが、
太陰太陽暦を使っていた時代においては、新盆や旧盆などという概念自体が存在しないので、当然単語自体存在し得ないわけです。
つまり、改暦が行われた明治5年以降に作られた新しい単語ということになります。
新旧の読みの「しんきゅう」が一般的であるから、「しんぼん」と「きゅうぼん」とするのが良さそうで一般的になりそうですが、日本語はそんな単純で生易しい言語ではなく、音訓入り交じることがあり、そちらがメジャーやポピュラーになることがあります。
例えば、内科と外科を「ないか」と「げか」と当たり前に読むように、対になる単語なのに、読みの音訓が異なるなんてことが起こる不思議な言語なのです。
Googleでダブルクォーテーションでくくって検索してみると、
”新盆" "にいぼん" → 約 20,300 件
”新盆" "あらぼん" → 約 8,340 件
"新盆" "しんぼん" → 約 5,470 件
という検索結果になりました。
あくまでもGoogleの検索件数ですし、そこまで大きな差も無いように思われます。

さて、ややこしいのはこれだけではありません。

初盆(ういぼん/はつぼん)です。
初盆とは、簡単に言えば、故人が亡くなって初めてのお盆という意味です。
この初盆の意味として、新盆が使われるケースがあります。


まとめ

新盆には、新暦の7月15日に行われるお盆という意味と、初盆の意味の2通りがあって、読みは「にいぼん」「あらぼん」「しんぼん」の3通りもあり、どの読みが正しい正しくないという明確な基準や指標はなく、地域や年代によっては、どの読みが一般的なのかは、変化するかと思われます。
よって、その読みは間違っていると指摘することは、出来る限り避けたほうが懸命でしょう。

旧盆には、7月15日のお盆に対して月遅れの8月15日に行われる月遅れ盆と、旧暦の7月15日を厳密に計算しての2018年であれば8月25日に行われるお盆の2通りあり、読みは「きゅうぼん」の1通りである。

新暦の7月15日にお盆を行う地域:
東京都、神奈川県、静岡県、愛知県などの都市部に多く見られる。
また、北海道函館市、石川県金沢市などの旧市街地もこれに相当する。
大阪府や京都府、東京都多摩地区などは該当しない。

旧暦の7月15日、2018年であれば8月25日にお盆を行う地域:
奄美大島、沖縄県などの南西諸島に多く見られる。

新暦の8月15日にお盆を行う地域:
上記以外、特に農村部に多く見られる。

上記以外の地域:
8月7日:京都府

大まかに書きましたが、例外はありますので、お気をつけください。

ということです。
おわかりいただけましたでしょうか。


ではでは

 


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