Quantcast
Channel: 円周率近似値の日に生まれて理系じゃないわけないだろ! - knifeのblog
Viewing all articles
Browse latest Browse all 5376

50番目のメルセンヌ素数が発見される

$
0
0

2017年12月26日、GIMPSによって50番目とされるのメルセンヌ素数候補が発見された。

翌2018年1月3日、メルセンヌ素数と確定されましたが、まだ50番目かの確定はされていません。


数学をかじったものであれば、メルセンヌ素数が何たるか解っているだろうが、そうでない人のために説明しておきます。


フランスのマラン・メルセンヌは神学者で、数学や物理学、音楽理論や哲学と幅広く研究されていた1500~1600年代の学者です。

2n-1
(n∈N)

日本では、2n-1で表せる自然数をメルセンヌ数、2n-1で表せる素数をメルセンヌ素数と、分けて呼ぶことが多いです。

昨今のコンピュータにおける素数の探求は、主にメルセンヌ型の素数を探すことで、巨大な素数を探しているのです。

さて、2n-1はメルセンヌが研究する以前から研究対象になっており、完全数の生成式として知られている。

Mn=2n-1

Mnが素数ならば、nも素数である。

nが素数でも、Mnが素数とは限らない。

という関係があります。

n=2のとき、22-1=3は素数。
n=3のとき、23-1=7は素数。
n=5のとき、23-1=31は素数。
n=7のとき、27-1=127は素数。ここまでは紀元前3世紀頃に見つかったとされる。
n=11のとき、211-1=2047=23×89は合成数。
n=13のとき、213-1=8191は素数。1456年に発見。
n=17のとき、217-1=131071は素数。1588年にピエトロ・カタルディにより発見。
n=19のとき、219-1=524287は素数。1588年にピエトロ・カタルディにより発見。
n=23のとき、223-1=8388607=47×178481は合成数。
n=29のとき、229-1=536870911=233×1103×2089は合成数。
n=31のとき、231-1=2147483647は素数。1772年にレオンハルト・オイラーにより発見。


n=11、23、29のように、合成数になったり、素数となったりするので、nに素数を与えることで、Mnは素数の候補となるわけです。

オイラーの時代、1772年で8番目ですね。

リュカ数列で有名なリュカも、n=127で1876年にメルセンヌ素数を見つけるのですが、リュカが亡くなって20年後の1911年にR・E・パワーズによって、n=89、n=107のメルセンヌ素数が見つかり、リュカが見つけたn=127は12番目のメルセンヌ素数となりました。

このように見つかった順番と、メルセンヌ素数として小さい順に並べたときの順番が違ったりするのも面白いところでもあります。

また、13番目以降のメルセンヌ素数はコンピュータで見つけられており、35番目以降はGIMPSによる発見となっています。

GIMPSとは、Great Internet Mersenne Prime Searchの略で、1996年に発足されました。

このグループには、インターネットにつながるコンピュータを持つ一般人も参加でき、そのコンピュータが暇なときに、メルセンヌ素数を発見するお手伝いをするという仕組みです。


さて、今回発見された50番目とされるのメルセンヌ素数のnはいくつだったのでしょうか。

n=77232917

です。

2のべき乗ですので、Mnの桁数(10進数)を考えてみます。

log102≒0.30102999566398119521373889472449

ですから、

10x=277232917

両辺のlog10を取ると、

xlog1010=77232917log102

x=77232917×log102≒23249424.669626619539503493315929

というわけで、桁数にすると23249425桁あることになりますので、アメブロですべてを紹介するならば、画像にして貼り付けるしか方法がありませんね。

それほど巨大な素数を見つけたということです。


さてさて、メルセンヌは数学者としてはメルセンヌ数、メルセンヌ素数として有名ですが、他の分野はどうなのでしょうか。


例えば、音楽理論においては、12平均律の確立をしたことで有名です。

オクターブを20000000:1000000として、周波数としてほぼ正しい12等分を示しました。

これは21/12という値の正確な値が必要になります。

音楽をかじったものであれば、440Hzとか聞いたことあるかと思います。

440Hzからスタートして、21/12を掛け続けていくと、12回目が880Hzとなります。

Windowsの電卓を開いて、関数電卓モードにして、

440 × 2 ^ (1 ÷ 2)

として、エンターを12回、24回、36回、…、とやってみてください。

12回毎に倍々に増えていくことを確認できますね。


よく、数学不要論とかを耳にします。

算数さえ解れば、数学は社会に必要ないとか、うんちゃらかんちゃら…

御託を並べるのは構わないのだが、あなたが知らないだけで、あなたは知る必要もなく生きているのかもしれません。

メルセンヌ素数の探求は、純粋数学の範疇ですが、それを現代のインターネットで繋がったコンピュータ群で探求する分散型コンピューティングという試みは応用数学の範疇である。

また、12平均律の確立も、応用数学の範疇である。

応用数学は案外社会に必要とされている。

応用数学を扱うには、多少の数学の素養、おそらくは不要論者がいうところの算数が必要であり、純粋数学を研究している人たちの築き上げたものを使わせて貰っているということを忘れてはいけない。

つまり、算数レベルの知識でも使えるような入口(インプット)と出口(アウトプット)、その中間はブラックボックス化されて、一般人には知る必要すらないかもしれないが、高度な数学の理論が詰まっている可能性がある。

その高度な数学の理論は、一朝一夕では築き上げられない。

つまり、そういうことです。


今年も、数学の話題をたくさん書いていければなと思っています。

ではでは


Viewing all articles
Browse latest Browse all 5376

Trending Articles